3つの技術


講座では以下の3つの技術を順番に学びます。

1 筆の使い方

2 水の使い方

3 色の使い方


最初の「筆の使い方」では水墨画の筆の技術を利用します。

これが他ではない、この講座の一番の特色かもしれません。

各技術について詳しく解説します。


1 筆の使い方

現代では普段筆を使って文字を書くことがほとんどありません。

なので、まずは筆の扱いに慣れる必要があります。

筆の扱いと言えば、筆先の動かし方を意識する人が多いですが、違います!


筆の動かし方はおそらく剣の動かし方と似ています。

そしてそれはデッサンなどで鉛筆や木炭を動かすのとも似てます。


私は剣道などの経験がありませんが、宮本武蔵が描いた絵を見た時に、剣の動かし方が筆の動かし方と一緒だということがわかりました。

武蔵の絵に剣の太刀筋が見えたんです。(気がしただけかも (^-^; )


余談ですが、宮本武蔵は晩年、独学で水墨画を描いています。

とても独学と思えないようないい絵を描きますが、それは、剣と筆の動かし方が似ていたからでしょう。


あまり筆の動かし方の秘訣を文字として、ここには書きたくありません。

なぜならそれは、知識として知るものではなく、体験として体で覚えるものだからです。

(私も後になって武蔵の絵を見た時に気づきました)


知識が先行してしまうと、そこに意識がいってしまい、本来いい線を描くための動作が、動作のための線となって本末転倒になるからです。


◇「筆の使い方」ではいろんな方向に筆を運ぶ練習をします。

それも結構な時間を使って。

実はこれは、線を練習する目的以外に、筆の動かし方を体に覚え込ませる為でもあります。(だから多くの時間が必要)


ですから、私を信じてこの寡黙的な課題に真摯に打ち込んで欲しいのです。

この講座が終わった後は、デッサンの線も変わっているでしょう。

※「筆の動かし方の秘訣」は、講座の途中で頃合いをみて説明します。


◆筆の使い方では

線を描きますが、それは線であると同時に面でもあります。


水墨画には鉤勒(こうろく)法と没骨(もっこつ)法いう2種類の描き方があります。


鉤勒法とは輪郭線を描いて物の形を描く方法で、普段私たちがよく知ってる描き方

没骨法とは輪郭線を描かず、面で形を描く方法で、水墨画独特の描写方法です。

講座ではこの面で描く「没骨(もっこつ)法」で描く練習します。


※後で知ったのですが、琳派で有名な俵屋宗達は、この「没骨法」を「たらし込み技法」とともに日本に持ち込み多用したらしいです。「没骨法」は「たらし込み技法」との相性がバッチリなんです!


「たらし込み」とは水彩画用語では「ウェット・イン・ウェット」と言います。

講座でも「2 水の使い方」「3 色の使い方」では「ウェット・イン・ウェット」をたくさん練習してもらいます。

理由は、この技法が水彩画ならではの独特の技法だからです。(私自身もこの技法を多用します)


◇話を戻しますと、没骨法では広い面から細い線まで描きますから表現の幅が広がります。

そして、この技法で絵を描いていると物の形を線ではなく、面で捉えるようになります。(より立体に近い)


そうすると線で捉えるよりも早く、ものの形を把握できるようになります。

メリットはそれだけではなく、線より早くものの形を描けるので、この没骨法は野外でのスケッチや絵手紙、絵葉書などを描くのに向いています。


◆筆の使い方の習得で

  • 一筆でや二筆で植物の葉っぱを描けれる
  • 筆圧をある程度コントロールできる
  • いろんな角度からの葉っぱを描けれる

  • 筆の扱い方を体で覚れる
  • 葉の形を以前より早く把握できる

  • 葉の形を以前より早く描くことができる

  • 鉛筆やペンで描く線が変わる

という利点があります。



 水の使い方

水彩絵の具は、絵の具を水で 薄めて使います。

紙の上に塗った色は、水が乾くまで動き続け、水が乾いた時に初めて定着します。


この水の乾き具合を見計らって次の色を置くことで

「ウェット・イン・ウェット」と「ウェット・オン・ドライ」という2つの技法が生れます。

講座では葉脈を描くことを通して、この2種類の技法を練習してもらいます。


水の乾き具合は、絵を描いている場所の気温、湿度、風などの気候条件と、使用している紙質、絵の具の濃度、筆に含ませた水分量などによって変わります。

つまり、完全にコントロールすることはできません。


ですが、経験を積み重ねることで経験値が上がり、ある程度予測できるようになります。

これは経験によるものなので、教えることはできません。

経験を重ね、自分自身の経験値を上げるしかないです。


◆水の使い方の練習で

  • ウェット・イン・ウェットの経験を積める
  • ウェット・オン・ドライの経験を積める
  • 葉脈を上記2つの技法で描き分けれる
  • 葉脈で初心者が失敗しやすいポイントを回避できる

という目的があります。


 色の使い方

ここでは主に「ウェット・イン・ウェット」の練習になります。

紅葉の葉の色を作る練習もその一つ


他には、いくつかの花の描き方のコツのようなものも紹介しますので、それらを描いてもらいます。その時も「ウェット・イン・ウェット」を使って描きます。


「ウェット・イン・ウェット」という技法はとにかく回数をこなして、経験値を上げる以外に使いこなせないので、後半はほぼこれの練習を兼ねています。


色の使い方の練習で

  • ウェット・イン・ウェットでいろんな色が作れる
  • ウェット・イン・ウェットを使って色の濃淡が作れる
  • ウェット・イン・ウェットを使って花や葉が描ける
  • 簡単な形、複雑な形 の花がウェット・イン・ウェットで描ける

という技術が身につきます。


3つの技術を習得することで

  • 集中力が身につく
  • 基本の筆使いを応用して、花や葉を描ける
  • 自分の表現したい方法で、ある程度花が描ける
  • 講座終了後は、自立して練習ができる
  • 講座終了後は、自分の描きたいものが見えてくる(わかってくる)

当然個人差はありますが、以上のような目的のための練習です。



一番最後は、自分で選んだ花を自分の好きなように描いてもらう課題があります。(追加サポート)

水彩画は最終的には自分が使う絵の具、紙、筆に慣れる必要があり、それらを使った経験値によって表現の幅が広がります。



最後に

色のセンスを磨き、経験値を上げるには、いいなと思う絵を模写してみてください。


色を真似るのが悪いわけではありません。

「この人の絵の色使いいいな」と思ったら、自分が持っているパレットの色で、試行錯誤しながらその色を作り出すことが重要です。


もう一度

「自分が持っている絵の具で色を作る」これが重要です!


そうした試行錯誤の経験は、すべてあなたの中に蓄積され、そしてある時突然に色が自由に扱えるようになります。


色に関しては講座の最後の方でやりますが、それは扱い方であって、センスを磨くものではありません。センスとは教えれるものではないですから。


◇次にこの講座ではどのように学習していくのか、下記で解説してます。

≫  学習の流れ



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